Z世代の2人に1が認知!? TikTokで若者の心をつかんだ NTTドコモのショートドラマ戦略

課題

・ドコモの存在が日常に溶け込みすぎていて、若者にブランドイメージを持たれていなかった。

・若者と中長期でコミュニケーションをとる手段を模索していた。

 

解決策

①ターゲットに最適化したコンテンツ展開

・若者が日常的に利用するTikTokで高いエンゲージメントが期待できるショートドラマを配信

・ターゲットと同世代のZ世代クリエイターがコンテンツ制作を担当

・高校生の日常を切り取ったリアルなストーリー展開や、若者の関心を引くトレンドを意識したコンテンツ制作

 

②迅速な制作・意思決定プロセスの確立

・企画から投稿まで2週間以内の超短期サイクル

・制作現場の裁量を拡大し、スピーディな意思決定を実現

・週4本の動画を安定的に投稿できる体制を構築

 

効果

・フォロワー数1.8万人から30.7万人に増加

・ターゲットの施策認知率44%獲得

・平均再生数300万回

・総再生回数は3.1億回、総再生時間は314万時間(年数にすると約358年分)を突破
(※2024年11月時点)

 


※この画像はNewsPicks+dの記事より引用しています。

※株式会社NTTドコモ ブランドコミュニケーション部 コーポレートブランド担当 梅津様(写真左) / 株式会社GOKKO ビジネス統括部門 執行役員 中矢(写真右)

 

株式会社NTTドコモは、日本最大の移動通信事業者であり、NTTグループに所属。1992年に設立されて以来、日本国内における携帯電話、スマートフォン、タブレット向けの通信サービスを提供し、「ドコモ」という名前は、「どこでも」「コミュニケーション」を意味し、ユーザーがいつでもどこでも利用できるサービスを目指している。

若者へのブランドイメージ確立を目的に、ごっこ倶楽部と「青春」をテーマにした高校生活の日常を描くショートドラマを制作・投稿中。2024年3月からTikTokアカウントで配信を開始し、週2ペースで新作を投稿。

 

@docomo.official

 

高いエンゲージメント、長時間視聴、企業としてのメッセージも込められるショートドラマ施策

「若者にとって携帯キャリアの存在が日常に溶け込みすぎていて、ドコモに対するブランドイメージをもたれていないことに課題を感じていました。」と語る株式会社NTTドコモブランドコミュニケーション部コーポレートブランド担当の梅津さん。

 

Z世代が日常的に触れており、長時間視聴、いいねやコメント書き込みなどの高いエンゲージを期待できる点。また、”青春の身近なところに存在するスマホやネットワーク、それを陰で支えているドコモ”といった伝えたいメッセージをストーリーに込めることができる点からショートドラマの活用を検討し始める。そこで、既に企業と一緒にドラマを制作していたことからごっこ倶楽部に制作を依頼。

短期間で大きな成果をあげたショートドラマ運用工程

「実際の作品づくりは、ショートドラマ一本一本の企画から撮影、編集に至るまで、一気通貫してごっこ倶楽部のメンバーが担当しています。監督や脚本など、チーム自体が主にZ世代のメンバーで構成されているんです。そしてひとりよがりな企画にならないように、すでにTikTokで数多く見られている動画への反応、どういったコメントが書き込まれているか、どのコメントに『いいね』がたくさんついているかなど、リサーチして参考にしています。」と語る株式会社GOKKO ビジネス統括部門 執行役員の中矢。

 

取り組みが決まってまず行ったことは、ドコモさんとGOKKOでの題材決め。

届けたいターゲット、何を伝えたいのかを聞いたうえで、クリエイティブとしてどうかたちにするのかなどを議論してテーマを決めた。

「動画を見てもらうターゲットは、15歳から24歳のZ世代、なかでも高校生をメインに設定しました。学生にとって、受験や卒業といった大きなイベント以外の、席替えや放課後といった日常的なシーンをドラマにすると面白そうだという話がお互いのコミュニケーションのなかで生まれ、いまの動画のかたちにたどり着きました」と梅津さんは語っている。

 

実際に制作に入ると、企画・撮影・編集・投稿は全てごっこ倶楽部で担当。週に4話分あがってくる脚本を同社が社内で確認し、投稿を行っている。そんな中、GOKKOの担当者からドコモさんにはこんなお願いをしていた。

 

「ショートドラマは、TikTok上のトレンドをタイムリーに企画へ落とし込むことが、バズを生むために重要です。そこで企画から撮影、編集、投稿までを、非常に短いスパンで実行したいという要望をお伝えしました。」

 

具体的には、撮影してから10日程度で作品が投稿されており、現在は週2撮影、週4本投稿を継続している。

 

これらのバズらせる土台を構築していくため、担当の梅津さんは社内調整に奔走。導入以前のリスクに対する解決策の提示。成功事例とその効果に対する説明などを行い、上層部を納得させた。導入後も、1本の脚本を上層部まで通すとバズらせるために必要な短いスパンでの運用ができないと思い、運用に感しては担当部署に一任して貰えるように頼み込んだ。

 

導入半年でターゲットの施策認知率44%達成

導入後の成果について、梅津さんは下記のように話している。

 

ドコモは元々、TikTokアカウントを広告に活用しており、継続的なコンテンツ発信には積極的に配信していなかった。そのため最初は、どれくらい再生回数が伸びるか予測が難しく「まず1本、10万回再生される動画を作る」ことを目標に掲げて運用を開始。

 

動画投稿を約10本行った後、再生回数は大幅に伸び始め、4月初めに本格的な運用を開始してから約6ヶ月で、フォロワー数は1.8万人から31.3万人に増加。さらに、投稿した動画の90%以上が100万回再生を超え、中には900万回以上再生されたものも出てきている。また、ターゲット層への潜在認知率は、運用開始後約1カ月で40%を超える(2024年4月、NTTドコモ調べ)。コンテンツを純粋に楽しんでもらえるだけでなく、「ドコモ」というブランドが多くの若者に届けられていることを、データから実感することができているそう。

 

まとめ

NTTドコモ様は、ショートドラマを通じて企業のメッセージを自然に伝える手法を採用し、柔軟な制作体制とトレンドの迅速な反映によって、ターゲット層に深くリーチすることができました。NTTドコモのブランドを全面に押し出すのではなく、ショートドラマの中にメッセージを込める手法が若年層に受け入れられ、純粋に楽しめるコンテンツとしてZ世代にリーチすることができた点で、NTTドコモにとっても新たなブランド戦略の成功事例となりました。

参照ページ:9割以上再生数100万回超え。「企業×ショートドラマ」大躍進の秘訣