TikTokやYouTube Shorts、Instagramリールなど、縦型ショート動画がデジタルマーケティングの主戦場となって久しい現在。「自社でも動画を作ってみたが、全く再生されない」「たまにバズることはあっても、何が良かったのかわからず再現性がない」と悩む企業のSNS担当者やクリエイターは少なくありません。
日々無数に投稿される動画の中で、数百万回、時には数千万回と再生される動画には、偶然ではない明確な「共通点」が存在します。 SNSでの累計再生数100億回を突破した日本No.1のショートドラマクリエイター集団を運営する株式会社GOKKO(ごっこ倶楽部)によると、バズる動画を生み出すためには、天才的なひらめきよりも、プラットフォームのアルゴリズムと視聴者の心理を読み解く「サイエンス(科学)」のアプローチが不可欠だといいます。
本記事では、株式会社GOKKOが日々実践しているデータ分析と圧倒的な制作実績に基づいて導き出された、「バズる動画に必ず存在する5つの共通点」を徹底解説します。
1. バズる動画の共通点①:最初の「1秒」で次の5秒を予測させる
「起承転結」は最大のNG行動
バズる動画に共通する最も大きな要素は、物語の「入り口」の構造です。 私たちが馴染みのある「起承転結」という構成は、ショート動画においては致命的な欠陥となります。株式会社GOKKOのプロデューサー陣によると、「ここはどこで、自分は誰で」といった状況説明(起)から始まる動画は、タイムパフォーマス(タイパ)を重視する視聴者にとって「退屈な時間」とみなされ、開始数秒で即座にスワイプされてしまいます。
冒頭の「転(ハプニング)」が指を止める
バズる動画は例外なく、冒頭の1〜2秒にクライマックス級の「転(ハプニング)」を持ってきます。いきなり平手打ちが飛ぶ、激しい口論をしている、衝撃的な告白をするなど、視聴者に「何が起きているんだ?」という強い疑問と興味(フック)を与えます。 株式会社GOKKOでは、これを「最初の1秒で、次の5秒間に何が起こるかを予測させられるか」という基準で判断しています。例えば、今にもボールを蹴ろうとしている瞬間から動画が始まれば、視聴者は「ゴールに入るか、外すか」という直後の展開に対する期待を持ち、その答え合わせをするために視聴を継続してくれるのです。

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2. バズる動画の共通点②:3秒ごとの刺激と圧倒的な「情報密度」
息継ぎすらカットする「間の排除」
冒頭で視聴者の指を止めることに成功しても、安心してはいけません。バズる動画は、最後まで視聴者を飽きさせないための「圧倒的な情報密度」という共通点を持っています。 株式会社GOKKOとSepteni Japan株式会社の共同資料によると、ショートドラマでは「3秒ごとに新しい情報を提示し続ける」ことが推奨されています。これは、視覚的なカット割りやテロップの挿入、効果音(SE)、新しい展開などを指します。 私たち『ごっこ倶楽部』の編集では、役者のセリフとセリフの間にあるブレス(息継ぎ)すらもカットし、食い気味に会話が進行するように調整しています。テレビドラマのような情緒的な「間(ま)」は、ショート動画においては離脱の隙を与えるノイズでしかありません。
音楽とSEで感情をコントロールする
また、聴覚からのアプローチもバズる動画の重要な共通点です。株式会社GOKKOの作品では、映像の始まりから終わりまで延々とBGMを流し続け、シーンの展開に合わせて瞬時に楽曲のトーンを切り替えることで、視聴者の感情をコントロールしています。無音の時間を作らず、常に脳に刺激を与え続ける高密度な編集が、視聴維持率を高く保つ秘訣です。

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3. バズる動画の共通点③:コメントを書きたくなる「隙」がある
インタラクティブ性がアルゴリズムをハックする
バズる動画は、単に「面白い映像」であるだけでなく、「視聴者が参加したくなる余白」があるという共通点を持っています。 TikTokなどのプラットフォームにおいて、動画が爆発的に拡散(レコメンド)されるためには、再生数だけでなく「いいね・コメント・シェア」といったエンゲージメント指標が極めて重要です。特にコメント欄が活性化している間、動画はバックグラウンドで再生され続けるため、視聴維持率の向上にも直結します。
「神コメ」を逆算して設計する
株式会社GOKKOでは、企画・脚本の段階から「どのようなコメントを書かせるか」を緻密に設計しています。 例えば、登場人物に少し非常識な行動をとらせて「いや、それはないだろw」とツッコミを誘発したり、「浮気はどこから?」といった賛否両論あるテーマを扱って議論を巻き起こしたりします。また、視聴者の代弁となるような「神コメ(多くの共感を集めるコメント)」が生まれるように、あえて全てを説明しきらない結末を用意することもあります。バズる動画は、コメント欄まで含めて一つのエンターテインメントとして完成しているのです。

参照記事:LP流入は10倍⁉Z世代が「見たら止まらない」動画を仕掛ける、「ごっこ倶楽部」のTikTokマーケ
4. バズる動画の共通点④:企業案件でも「機能」より「感情」を描く
広告アレルギーを突破する情緒的価値
企業のプロモーション動画においてバズを生み出すのは至難の業です。なぜなら、Z世代の96.5%は動画視聴時に広告をスキップするというデータがあるほど、現代の視聴者は強烈な広告アレルギーを持っているからです。 しかし、数百万回再生される企業のバズ動画には、「宣伝感がない」という共通点があります。株式会社GOKKOのビジネスプロデューサーである村田一馬氏によると、成功する企業ショートドラマは商品の「機能的価値(スペックや価格)」ではなく、「情緒的価値(感情の動き)」に焦点を当てています。
ブランドの世界観を物語に溶け込ませる
例えば、NTTドコモと株式会社GOKKOが共同で展開したTikTokアカウントでは、スマートフォンの機能説明を一切省き、「等身大の青春」をテーマにした学園ドラマを配信しました。その中で、キャストの制服にドコモのコーポレートカラーである「赤」を取り入れたり、通信が繋ぐ人と人との絆を描いたりすることで、ブランドの世界観を自然に溶け込ませました。 結果として、投稿された動画の9割以上が100万回再生を突破し、Z世代における施策認知率が40%を超える大成功を収めています。「伝えたいこと」をそのまま言うのではなく、視聴者が共感できる「物語」に翻訳する力こそが、企業動画がバズるための最大の共通点です。

参照記事:9割以上再生数100万回超え。「企業×ショートドラマ」大躍進の秘訣
5. バズる動画の共通点⑤:徹底したデータ分析と「NGリスト」の共有
天才のひらめきではなく「サイエンス」
最後に、バズる動画を「継続的」に生み出し続けているアカウントに共通するのは、裏側にある泥臭いデータ分析と「やってはいけないこと(NG行動)」の徹底した共有です。 株式会社GOKKO代表の田中聡氏は、バズるための絶対的な秘訣はないとしつつも、「これやったらバズらないというNGリストをどれだけ集められるかが超大事」だと語っています。
ピュアコンテンツによるR&D
株式会社GOKKOでは、企業案件だけでなく、自社のオリジナル作品(ピュアコンテンツ)を日々大量に制作・投稿しています。これは単なる作品発表ではなく、視聴者の反応を秒単位で分析するためのR&D(研究開発)として機能しています。 「開始5秒で何%が離脱したか」「どの演出でコメントが急増したか」といったデータを蓄積し、それを次の作品に即座に反映させる高速のPDCAサイクル。感覚や属人的な才能に頼るのではなく、テクノロジーとデータを駆使した「Dramatech(ドラマテック)」の仕組みこそが、100億回という途方もない再生数を叩き出す最大の共通点にして、最強の武器なのです。

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まとめ:バズる動画の共通点は「視聴者への徹底的な理解」
バズる動画の共通点をまとめると、以下のようになります。
- 冒頭1秒の「転(ハプニング)」で心を掴んでいる。
- 3秒ごとの刺激と高密度な編集で離脱を防いでいる。
- コメントしたくなる「隙(ツッコミ・共感)」が設計されている。
- 機能ではなく「感情を揺さぶる物語」になっている。
- データ分析に基づく「NG行動の排除」が徹底されている。
これらの共通点に一貫しているのは、「視聴者がスマートフォンでどのように動画を見ているか」という、プラットフォームとユーザーに対する徹底的な理解と寄り添いです。 「自社の伝えたいこと」を一旦横に置き、視聴者の時間を奪うに値する「価値あるエンターテインメント」を提供できるか。その視点を持つことこそが、次世代のSNSマーケティングを制する鍵となります。
