ショートドラマの作り方を調べると、「企画・脚本・撮影・編集・配信の流れで作ります」という記事がたくさん出てきます。流れはそのとおりです。ただ、現場からひとつ付け加えると、工程を知っていることと、各工程で正しい判断ができることはまったくの別物です。
このメディアを運営しているGOKKOは、俳優を正社員として抱え、TikTokを中心に累計120億回再生のショートドラマを作ってきた制作会社です。この記事では6つの工程の流れに沿って、それぞれの工程で現場が実際に使っている判断基準を添えて解説します。

企画:誰の、どの感情を動かすかを決める
最初に決めるのはジャンルでも尺でもなく、誰に見せて、どの感情を動かすかです。共感なのか、ツッコミなのか、続きが気になる引っかかりなのか。ここが決まっていないと、脚本も編集も判断基準を失います。
ネタをゼロから発想する必要はありません。TikTokやYouTube Shortsで既に高い数字を出している動画を探し、バズっている要素を因数分解して、自分の企画に移植する。GOKKOの現場でも、ネタ出しはこの逆算から始まります。バズの構造を先に知りたい方は「ショート動画をバズらせる方法」が役に立ちます。
脚本:転から書く(最初の難所)
6工程のうち、仕上がりへの影響がいちばん大きいのが脚本です。縦型ショートドラマの脚本は、起承転結の順ではなく最初の2秒にハプニング(転)を置く構成で書きます。説明から入った数秒は、スワイプひとつで離脱される時間だからです。
尺の目安も明確で、セリフのラリー10〜12回でおよそ30秒。収まらなければ前後編に分けます。構成の考え方からフックの作り方、コメント欄からの逆算まで、脚本工程の全部は「ショートドラマの脚本の書き方」として1本の記事にまとめてあるので、書く段階になったらそちらを開いてください。
撮影準備:キャスティングと段取りで映像の質が決まる
脚本ができたら、撮る前の段取りです。やることはシンプルで、配役(キャスティング)、ロケ地の確保、衣装と小道具、そして当日のスケジュールをまとめた香盤表づくり。地味な工程ですが、1話1〜3分×何十話を安定して出し続けられるかはここで決まります。
見落としがちなのが権利まわりです。ロケ地の撮影許可、通行人の映り込み、使用する音源。公開後に取り下げる事態がいちばんもったいないので、撮る前に確認してください。
撮影:縦9:16で、画面の情報量を設計する
縦型ショートドラマの標準は9:16・1080×1920pxです。横型より画面に映る情報が少ないので、「どこまで映すか」を感覚ではなく設計で決めます。引きの画で状況を説明する時間はないと考えて、一目で状況が飲み込める画を作ってください。解像度やセーフゾーンの数値は「9:16のサイズ早見表」にまとまっています。
機材は、始めるだけならスマートフォンと三脚で足ります。画質より先に効くのは音声なので、マイクには投資する価値があります。
編集:テンポがすべて(2つ目の難所)
ショートドラマの編集は、テレビドラマの編集とは別物です。GOKKOの現場では、役者の息継ぎ(ブレス)すらカットするハイテンポが前提。無音の間、長い説明、ワンテンポ遅いリアクションは、すべて離脱ポイントになります。
もうひとつの前提が、音を出さずに見る視聴者のためのテロップ(字幕)です。セリフが読める状態まで仕上げて、はじめて完成といえます。縦型動画の編集手順は「縦型動画の作り方・編集」で詳しく解説しています。

配信・運用:投稿して終わりではない
完成した動画は、TikTok・Instagramリール・YouTubeショートなどに投稿します。プラットフォームごとに伸び方の仕組みが違うので、本気で運用するなら仕組み側の理解が必要です。YouTubeショートの仕組みは「YouTubeショートのアルゴリズム攻略」にまとめています。
そして、ここからが制作会社とアマチュアの分かれ目です。GOKKOでは、配信後の秒単位の視聴維持率データを脚本に突き合わせる「Dramatech」という取り組みをしています。どの秒で視聴者が離れたかが分かれば、次の1本は確実に良くなります。作って、出して、数字で直す。このループまで含めて「作り方」です。
よくある質問
スマホだけでショートドラマは作れますか?
作れます。撮影はスマートフォンと三脚、編集も無料アプリで始められます。機材より先に、脚本の構成とテンポの設計に時間をかけるほうが仕上がりに効きます。
AIでショートドラマを作ることはできますか?
脚本の叩き台や撮影が難しいカットの生成など、工程の一部では実用段階です。全編AI生成はまだ感情芝居に課題が残ります。詳しくは「AIドラマはどこまで作れる?」をどうぞ。
1本作るのにどのくらいかかりますか?
話数・キャスト・ロケ地の数で大きく変わるため、一概には言えません。確実に言えるのは、撮影より企画・脚本と編集に時間を配分したチームのほうが良い結果を出す、ということです。
自社では難しそうなので、プロに任せたい場合は?
制作会社の見極め方を「ショートドラマ制作会社の選び方」にまとめています。依頼時に何を聞くべきかまで書いてあります。
まとめ:工程は真似できる。判断基準が差になる
企画、脚本、撮影準備、撮影、編集、配信・運用。工程そのものは、この記事を読めば今日から真似できます。差がつくのは各工程の判断基準——転から書けているか、ラリーで尺を測れているか、ブレスまで刻めているか、数字で直せているか——のほうです。
ショートドラマという形式自体をもっと知りたい方は「ショートドラマとは」へ。企業のプロモーションとして作りたい方は、企画段階からGOKKOのショートドラマ制作(公式ページ)で相談できます。
