WEBTOON(ウェブトゥーン)とショートドラマの関係性は?メディアミックスの最新潮流

WEBTOON(ウェブトゥーン)とショートドラマの関係性は?メディアミックスの最新潮流

スマートフォンの普及に伴い、エンターテインメントの消費スタイルは「横型・長尺」から「縦型・短尺」へと劇的な変化を遂げました。この変革の中で、漫画業界で覇権を握ったのが縦読みフルカラー漫画「WEBTOON(ウェブトゥーン)」であり、映像業界で現在爆発的な成長を見せているのが「縦型ショートドラマ」です。

一見、静止画(漫画)と動画(ドラマ)という異なるフォーマットに見える両者ですが、実はその構造やビジネスモデル、そして視聴者層において極めて高い親和性を持っています。現在、この二つの巨大市場が融合し、新たなメディアミックスの潮流が生まれつつあることをご存知でしょうか。

本記事では、累計再生数100億回を突破した日本No.1のショートドラマクリエイター集団「ごっこ倶楽部」を運営する株式会社GOKKOの公開情報や、最新の市場動向に関するインタビュー記事を基に、WEBTOONとショートドラマの密接な関係性と、そこから生まれる巨大な経済圏について解説します。


1. 「WEBREEN」:スマホ画面でつながる共通の遺伝子

縦スクロールが同期させる没入体験

なぜWEBTOONとショートドラマは相性が良いのでしょうか。その根源的な理由は、デバイスとUI(ユーザーインターフェース)の同一性にあります。 株式会社GOKKOでは、縦型動画プラットフォームにおける新たなジャンルを「WEBREEN(Web + Screen)」と定義しています。これは、マンガに対するWEBTOON、家庭用ゲームに対するソーシャルゲームのように、プラットフォームや人々の行動様式の変化に合わせて進化した映像表現の新形態を指します。

WEBTOONは、スマートフォンを縦に持ち、親指でスクロールしながら読み進める形式です。一方、ショートドラマも同様に、縦型の画面いっぱいに映像が表示され、スワイプによって次のコンテンツへと遷移します。 株式会社GOKKOによると、従来の横型ドラマとは異なり、縦型ショートドラマは視聴者との距離が物理的に近く、「自分に話しかけられている」「目の前で起きている」という強い当事者意識や没入感を生み出す特徴があります。WEBTOONで慣れ親しんだ「縦スクロールによる物語摂取」のリズムは、そのままショートドラマの視聴体験へと違和感なく移行できるのです。

「フック」と「テンポ」の脚本構造

また、ストーリーの構成要素においても両者は共通しています。 株式会社GOKKOの制作メソッドにおいて、従来の「起承転結」は採用されません。冒頭の数秒で強力な「フック(掴み)」を用意し、視聴者の離脱を防ぐ手法がとられています。 これは、WEBTOONが「待てば無料」の仕組みの中で、いかに読者を次の話(課金ポイント)へ誘導するかを追求した結果生まれた、「クリフハンガー(次が気になる引き)」を多用する脚本術と酷似しています。展開が早く、無駄な描写を削ぎ落とし、感情のピークを連続させる。この「高密度・高速」な物語構造こそが、現代のZ世代を中心とした視聴者の「タイパ(タイムパフォーマンス)」ニーズを満たす共通言語となっているのです。


2. 収益モデルの融合:「マンガアプリ」化するドラマアプリ

「待てば無料」モデルの輸入

ビジネスモデルの観点からも、ショートドラマはWEBTOONの後を追う形で進化しています。 これまでの動画配信サービス(NetflixやAmazon Prime Videoなど)は、月額定額制(サブスクリプション)が主流でした。しかし、現在急成長しているショートドラマアプリは、WEBTOONアプリで確立された「話数課金(マイクロトランザクション)」モデルを採用しています。

株式会社GOKKOが2025年2月にローンチした縦型ショートドラマアプリ「POPCORN(ポップコーン)」も、このモデルを踏襲しています。 具体的には、冒頭の数話を無料で公開し、物語が盛り上がったところで「続きを見るためには課金、もしくは広告視聴が必要」となる仕組みです。株式会社GOKKOのCOO兼統括プロデューサーである志村優氏は、このモデルについて「マンガアプリに近い形式」であると明言しており、ユーザーが能動的に「この作品にお金を払いたい」と感じるタイミングで課金ポイントを設計しています。

世界市場での成功事例

この「WEBTOON型ビジネスモデル」の有効性は、世界市場ですでに証明されています。 市場調査会社YH Researchによると、縦型ショートドラマの世界市場は2029年に約8.8兆円規模に達すると予測されています。先行する中国市場や、中国発のアプリ「ReelShort」が米国で大成功を収めている背景には、この「少額課金の積み上げ」による爆発的な収益力があります。 日本でも「BUMP」などの先行アプリが登場しており、株式会社GOKKOも「POPCORN」を通じて、WEBTOONで培われた「課金慣れ」したユーザー層をドラマ視聴へと誘導する戦略を描いています。

参照記事:ショートドラマ×プロモーション|企業の最新活用事例25選 |ムビラボ(https://movi-lab.com/column/shortdrama_case/)


3. 実写化の加速:WEBTOON原作×ショートドラマの成功事例

親和性の高いIP活用

WEBTOONとショートドラマの親和性が高いため、WEBTOON原作の実写化プロジェクトが急速に増加しています。 従来のテレビドラマや映画での実写化は、制作費や撮影期間の規模が大きく、企画から公開までに数年を要することも珍しくありませんでした。しかし、ショートドラマであれば、低コストかつスピーディーな制作が可能です。これにより、WEBTOONの連載中に、熱量が冷めないうちに実写化を展開するという「同時多発的なメディアミックス」が実現します。

株式会社GOKKOの実績

株式会社GOKKOは、この潮流をいち早く捉え、数々のWEBTOON作品の実写化を手掛けてきました。

  • 『シンデレラ・コンプレックス』(2023年11月):人気Webtoonコンテンツを実写化し、大きな話題を呼びました。
  • 『6股彼氏 至上最高の復讐を』(2024年4月):復讐劇というWEBTOONで人気のジャンルを、ショートドラマならではのテンポ感で映像化し、アプリ「POPCORN」で配信しています。
  • 『君に捧げる男前』(2024年5月):人気コミックの実写化で、シーズン2も制作されるほどの人気シリーズとなっています。

これらの作品は、原作ファンをショートドラマに引き込むだけでなく、ショートドラマから原作WEBTOONへの逆流(送客)も生み出しています。株式会社GOKKOは、講談社、集英社、小学館、LINEマンガ、ピッコマといった主要な出版社・プラットフォームと協業関係にあり、今後も有力IPの実写化を加速させる方針です。


4. なぜ今、メディアミックスが必要なのか?

「可処分時間」の争奪戦

現代人は、SNS、動画、ゲーム、漫画と、無数のエンタメコンテンツに囲まれています。Z世代を中心とした若年層は、1つのコンテンツに長時間拘束されることを嫌い、隙間時間で効率よく楽しめるエンタメを求めています。 WEBTOONとショートドラマは、この「隙間時間(スキマ)」を埋める最強のパートナーです。 株式会社GOKKO代表の田中聡氏は、テレビ離れが進む中で、企業やクリエイターが生き残るためには、消費者が長く滞在しているプラットフォーム(TikTokなど)に最適化したコンテンツを供給し続ける必要があると説いています。WEBTOONという強力な物語の源泉(IP)を、ショートドラマという拡散力の高いフォーマットに変換することで、IPのライフサイクルを最大化できるのです。

制作コストとリスクの分散

また、ビジネス視点では「制作コストの安さ」も大きな要因です。 株式会社GOKKOによると、ショートドラマの制作費は従来のテレビCMやドラマの10分の1から100分の1程度に抑えることが可能です。これにより、多額の予算をかけて1本の大作ドラマを作るというハイリスクな賭けではなく、複数のWEBTOON作品をトライアル的に実写化し、反応が良かったものを長編化・シリーズ化するという「リーンスタートアップ」的なアプローチが可能になります。 これは、ヒット作が生まれにくいと言われる現代のエンタメ市場において、極めて合理的な戦略と言えるでしょう。

参照記事:平均200万再生・Z世代に圧倒的な認知度を誇る『ドコモ×青春』に学ぶ、縦型ショートドラマ成功の秘訣 (1/3) |MarkeZine(https://markezine.jp/article/detail/48768)


5. まとめ:2026年、境界線は消滅する

WEBTOONとショートドラマの関係性は、単なる「原作と実写化」という関係を超え、互いに補完し合い、ユーザーの時間を共有する「兄弟」のような存在へと進化しています。

株式会社GOKKOは、自社アプリ「POPCORN」や、2025年に設立した日本初の縦型ショートドラマ特化型スタジオ「studio505」を活用し、このメディアミックスの流れをさらに加速させようとしています。 2026年には、WEBTOONで読んだ作品が翌週にはショートドラマとして配信され、そのドラマを見たユーザーがまた別のWEBTOON作品へと流れていく――そんなシームレスなエンタメ体験が当たり前になるでしょう。

「漫画を読む」ことと「動画を見る」ことの境界線が曖昧になり、すべてがスマートフォンの縦画面の中で統合されていく未来。株式会社GOKKOが推進する「Dramatech(ドラマ×テクノロジー)」は、その未来を実装するための重要な鍵を握っています。