「動画広告を配信しているが、そもそも最後まで見られているのか分からない」
「レポートに出てくるスキップ率という指標を、どう読んで、どう改善すればいいのか整理したい」
動画広告の費用対効果を上げるうえで、表示回数(インプレッション)を増やすことと同じくらい重要なのが、「配信した広告がどれだけ回避されているか」を正しく把握することです。その物差しになるのがスキップ率です。
本記事では、スキップ率の定義と計算式、目安となる数値、視聴完了率・視聴維持率との違いを整理したうえで、ユーザーが広告をスキップしてしまう根本的な理由と、累計再生数120億回を突破した縦型ショートドラマ集団「ごっこ倶楽部(株式会社GOKKO)」が現場で実践している改善アプローチまでを解説します。

1. スキップ率とは?定義と計算式
スキップ率の定義
動画広告における「スキップ率(Skip Rate)」とは、配信された動画広告に対して、ユーザーが最後まで(あるいは一定時間まで)視聴せずに、スキップボタンなどを押して視聴を回避した割合を指します。
YouTubeの「スキップ可能なインストリーム広告」のように、広告開始から5秒経過するとユーザー自身がスキップできるフォーマットで、最も注視される指標のひとつです。
スキップ率の計算式
スキップ率は、次の式で算出します。
- スキップ率(%)= スキップされた回数 ÷ 広告が表示された回数(インプレッション数)× 100
たとえば広告が10,000回表示され、そのうち8,000回スキップされた場合、スキップ率は80%です。
管理画面には「スキップ率」が直接出ないことも多い
実務上の注意点として、広告媒体の管理画面に「スキップ率」という項目がそのまま用意されているとは限りません。多くの場合は視聴完了率(フル視聴率)や再生率の裏返しとして算出することになります。まずは自社が使っている媒体で、どの指標からスキップ率を導けるかを確認しておきましょう。
2. スキップ率の目安はどれくらい?

「自社の広告のスキップ率は高いのか低いのか」を判断するには、比較対象となる水準が必要です。
結論から言えば、通常の動画広告におけるスキップ率は80〜90%台に達することも珍しくありません。ごっこ倶楽部がウェビナーで公開している比較データでは、TikTokの長尺動画広告における平均フル視聴率(最後まで視聴された割合)は平均8.5%とされています。裏を返せば、残りの約9割は途中でスキップ・スワイプして離脱しているということです。
つまり「スキップされること」自体は異常ではなく、前提条件として設計に織り込む必要があります。重要なのは、その前提の上でどれだけ最後まで届けられるかです。
ストーリー型の広告では数字が大きく変わる
同じ比較データでは、ストーリー性を持たせた「縦型ショートドラマ」形式の広告のフル視聴率は20〜30%まで跳ね上がります。フォーマットを変えるだけで、最後まで見られる割合が2〜3倍以上になる計算です。スキップ率は「配信設定」よりも「クリエイティブの型」で大きく動く指標だと言えます。
3. 視聴完了率・視聴維持率との違い
スキップ率は、似た指標と混同されがちです。評価を誤らないために、3つの指標の関係を整理しておきましょう。

① 視聴完了率との違い
視聴完了率は、動画広告がスキップされずに最後まで(または媒体が規定した秒数まで)視聴された割合です。スキップ率とは表裏一体の関係にあり、途中離脱を単純化して考えれば「スキップ率+視聴完了率=100%」に近づきます。
② 視聴維持率との違い
視聴維持率は、動画の各秒数において、どれだけのユーザーが視聴を継続していたかを示す割合です。スキップ率が「スキップされた」という結果(点)を示すのに対し、視聴維持率は「何秒で離脱したか」という推移(線)を示します。
どこで離脱が起きているかは維持率のグラフにしか現れないため、改善のヒントは視聴維持率にあると考えてください。ごっこ倶楽部の制作現場では、開始5秒時点で50%以上の維持を一つの基準にしています。
3指標の関係を整理する
| 指標名 | 意味 | 計算式 | 目安(通常の動画広告) |
|---|---|---|---|
| スキップ率 | 広告がスキップ(回避)された割合 | スキップ数 ÷ インプレッション数 | 80〜90%台に達することも多い |
| 視聴完了率 | 最後まで視聴された割合 | 視聴完了数 ÷ インプレッション数 | TikTok長尺広告で平均8.5% |
| 視聴維持率 | 各秒数で視聴を続けている割合 | 各秒数の視聴者数 ÷ 開始時の視聴者数 | 開始5秒で50%以上が一つの基準 |
より広い視点でのKPI設計は、ショート動画広告の効果測定・KPI設計ガイドで詳しく解説しています。
4. なぜユーザーは広告をスキップするのか

95.5%のユーザーが広告をスキップしている
ユーザーの視聴態度は、想像以上にシビアです。動画配信サービスで動画広告を目にした際の行動を尋ねた調査では、「必ずスキップする」38.8%、「スキップすることが多い」56.7%で、合計すると95.5%のユーザーが広告をスキップしていることが分かっています。
スキップできるまでの5秒間も、92.0%は広告を見ていない
さらに深刻なのが、スキップボタンが表示されるまでの数秒間のふるまいです。
- ただスキップボタンが出るのを待っていることが多い:64.1%
- スマホから目を離すなど、他のことをしていることが多い:27.9%
- 広告をしっかり観ることが多い:わずか8.0%
つまり、媒体が確保してくれている強制視聴の数秒間ですら、92.0%のユーザーは広告を注視していません。「5秒あるから最初の5秒に情報を詰め込もう」という発想が機能しにくいのは、このためです。
背景にあるのは「可処分時間の奪い合い」
この20年で、動画・音楽のサブスクリプションやSNS投稿など、ユーザーが触れられるコンテンツの供給量は爆発的に増えました。限られた可処分時間をあらゆるコンテンツが奪い合っている状況では、「見たいコンテンツを中断して割り込んでくる、企業主語の宣伝」は不快なノイズにしかなりません。
スキップ率が高いのは、クリエイティブの出来だけの問題ではなく、「広告として認識された瞬間に回避される」という構造の問題でもあるのです。
5. スキップ率を下げる3つの改善アプローチ
95.5%がスキップする前提に立つと、打ち手は「広告らしさを消し、最後まで見たくなる設計にする」ことに集約されます。制作現場で実践されている3つのアプローチを紹介します。
① 「起承転結」を捨て、冒頭1〜2秒を「転」から始める
状況説明(起)からのんびり始めると、広告と認識された瞬間にスワイプされます。スキップ率を下げる最大の要点は、いきなりハプニングや衝撃的なシーン(起承転結の「転」)からスタートさせることです。
- NG例(起):美しい音楽とともに、企業ロゴや「私たちは○○をサポートします」というテキストから始まる。
- OK例(転):登場人物が激しく怒っている/水をかけられている/スマホの画面を見て泣いている。「なぜ怒っているのか」の答え合わせをしたくさせることで、指が止まる。
② 「3秒に1回」の刺激で中だるみをなくす
冒頭で指を止めさせても、途中に中だるみがあればそこで離脱されます。ショートドラマの編集では、セリフの間の無駄な「間」や役者のブレス(息継ぎ)すらカットし、3秒に1回は新しい展開(カット割り、テロップ、効果音、サプライズ)を提示し続けます。
無音の時間を作らずBGMを流し続け、感情のピークを維持させることも離脱防止に有効です。アルゴリズム側の評価軸についてはショート動画のアルゴリズム攻略法もあわせてご覧ください。
③ 「宣伝」を「見たいエンタメ」に変える
ユーザーが広告をスキップするのは、機能や安さの羅列=売り込みを嫌うからです。商品のスペック(機能的価値)ではなく、その商品があることで生まれる喜びや葛藤といった情緒的価値(ストーリー)を描くフォーマットへ切り替えます。
Z世代女性215名を対象としたZ総研の調査では、83.7%がTikTokのショートドラマをきっかけに商品・サービス・ブランドを認知したと回答。さらにショートドラマ広告への印象は「ポジティブ」33.0%、「ややポジティブ」52.9%で、合計およそ86%が好意的に受け止めています。広告を嫌う世代であっても、エンタメ作品として成立していればスキップされないことを示すデータです。
6. まとめ:スキップ率は「見たくなる設計」で下げる
スキップ率について、押さえておきたいポイントを整理します。
- スキップ率=スキップされた回数 ÷ インプレッション数。管理画面に直接出ないことも多く、視聴完了率の裏返しとして算出する。
- 通常の動画広告では80〜90%台になることも多い。TikTok長尺広告の平均フル視聴率は8.5%で、スキップは異常ではなく前提。
- 視聴完了率は表裏一体(点)、視聴維持率は離脱の推移(線)。改善のヒントは維持率のグラフにある。
- ユーザーの95.5%が広告をスキップし、スキップ可能になるまでの数秒でさえ92.0%は注視していない。
- 下げる手段は「冒頭を転から始める」「3秒に1回の刺激」「宣伝を情緒ストーリーへ転換する」の3つ。ストーリー型ではフル視聴率が20〜30%まで上がる。
スキップ率の改善は、配信設定のチューニングよりもクリエイティブの型そのものを変えることで大きく動きます。具体的な改善施策は動画広告の視聴完了率を劇的に改善する4つの極意でも解説しています。
「動画広告を出稿しているがCPAが合わない」「再生数のわりにブランド認知や好意度が上がらない」とお考えのマーケティング担当者様は、まず自社広告のスキップ率と視聴維持率の推移を確認してみてください。そのうえで改善の打ち手を検討したい場合は、累計120億回再生の実績を持つ株式会社GOKKOへお気軽にご相談ください。
