ショートドラマの制作会社は、この1〜2年で一気に増えました。検索すれば「おすすめ10選」「13選」がいくつも出てきますし、各社のサービスページはどこも「再生数○億回」「バズらせます」と景気がいい。正直、初めて発注する側からすると、どこも同じに見えると思います。
先に書いておくと、このメディア(ショートドラマLAB)を運営しているのは、ショートドラマ制作会社の株式会社GOKKOです。つまりこの記事は同業者が書いています。だからこそ、基準は「どの会社に頼む場合でも使える物差し」だけに絞りました。うちに頼まない場合でも、商談の場でそのまま使ってください。
従来の動画制作会社ではダメなのか
よく聞かれる質問です。TVCMをつくってきた会社も、YouTubeの編集会社も、映像のプロであることは間違いありません。
問題は、ショートドラマがまったく別の映像文法とアルゴリズムで動いていることです。MarkeZineが2025年4月に報じた調査によれば、従来型の動画広告は96.5%がスキップされています。視聴者は「広告だ」と認識した瞬間、1秒でスワイプする。この前提で戦える設計図を持っているかどうかが、従来の映像制作との分かれ目になります。

きれいな映像をつくる技術と、スキップされない物語をつくる技術は、別物なんです。
失敗しない制作会社の見極め方
見積もりの安さだけで選ぶと、だいたい後悔します。確認すべきは次の4点です。

基準①:「起承転結」を捨てられる脚本力があるか
スマホ動画の勝負は冒頭1〜2秒。のんびり状況説明(起)から始める動画は、その時点で負けです。打ち合わせで「最初の2秒に何を置きますか」と聞いてみてください。「転から始める」「1秒で次の5秒を予測させる」といった具体的な答えが返ってくる会社なら、ショート動画特有の脚本の引き出しを持っています。曖昧な答えしか返ってこなければ、従来の文法で作る会社です。
基準②:撮影・編集までインハウスのワンチームか
企画はA社、脚本はB氏、撮影はC社、編集はD社——という分業体制は、ショートドラマと相性がよくありません。トレンドの移り変わりが速く、データを見て翌週には脚本を直す、という速度が求められるからです。脚本・監督・役者・編集・データ分析が同じ屋根の下にいるか。ここは必ず確認してください。
基準③:配信設計や広告運用まで伴走できるか
動画を納品してオーガニック投稿して終わり、では一時的なバズで消えます。オーガニックで露出を取りつつ、反応のよかった動画を獲得向け広告に転用する。そこまでの設計ができる会社かどうかで、投資対効果は大きく変わります。成果をどの指標で測るかは「ショート動画広告の効果測定・KPI設計ガイド」に詳しくまとめています。
基準④:「再現性」を数字で開示できるか
バズった事例が1本あるだけなら、まぐれの可能性があります。平均再生数、100万回再生の突破率。こうしたアベレージの数字を開示できるかどうかを聞いてください。嫌がる会社は、たぶん開示できる数字がありません。
依頼から公開までの流れと期間
一般的な流れはこうです。
- ヒアリング・企画:課題・ターゲット・KPIを握る
- 脚本・構成:冒頭1〜2秒のフックから逆算して設計する
- キャスティング・撮影
- 編集・仕上げ:テロップ・音・テンポをスマホ視聴前提で調整する
- 投稿・配信運用:反応データを次の話数や広告展開へ反映する
期間は体制次第で大きく変わります。工程ごとに別会社へ投げる分業型だと数ヶ月単位になることも珍しくありません。インハウス一貫型なら短縮できます。最初の打ち合わせで「どの工程に何週間かかるか」を聞いておくと、社内稟議やキャンペーン時期から逆算しやすくなります。
GOKKO(ごっこ倶楽部)の場合
ここからは自社の話なので、話半分で読んでもらって構いません。ただ、基準④で「数字を開示できるか」と書いた以上、自分たちの数字を出さないわけにはいかないでしょう。
- 累計再生回数:120億回
- 100万回再生突破率:93%
- 自社スタジオ:505坪(縦型ショートドラマ特化型「studio505」)
- クリエイター数:100人以上。俳優を正社員として雇用しています
ヒット作が感性や偶然から生まれているわけではなく、秒単位の視聴維持率データやコメント欄の反応を脚本・演出に反映させる「Dramatech(データ×クリエイティブ)」を回しています。タイアップ動画でもオーガニック平均再生数は174万回。絵コンテ工程を省いた制作フローで、実施決定から初回投稿までは2.5ヶ月前後が目安です。

タイアップで実際に何が起きたか
「本当にビジネス成果につながるのか」は、公開されている数字で判断するのが確実です。出典が公開されていて数値の裏が取れる2社を挙げます。

NTTドコモ「ドコモ×青春」
通信キャリアは商材での差別化が難しく、若年層に「自分ごと」として届きにくい。そこで商品訴求を前面に出さず、青春をテーマにした縦型ショートドラマをシリーズとして配信し続けました。結果、公式TikTokアカウントはフォロワー38万超、いいね1,700万以上。1,000万回再生を超えた作品も生まれ、Z世代の2人に1人が公式アカウントを認知するところまで到達しています。再生数より重要なのは、認知者のブランド好意度が非認知者を大きく上回ったこと。態度変容まで届いた事例です(出典:MarkeZine)。
JAL(日本航空)
こちらは認知ではなく行動がゴールでした。沖縄・久米島路線の需要喚起のため、久米島を舞台にしたドラマを前後編で公開。1ヶ月で総再生1,000万回、コメント2,700件超。キャンペーン応募は他の地方路線の2倍、そして配信前後で久米島行き航空券の予約数が270%以上増加しました。動画が伸びた、で終わらず売上に直結する指標が動いています(出典:Web担当者Forum)。
よくある質問
1本だけの単発でも頼める?
会社によります。ただ、ショートドラマはシリーズとして続けることでアルゴリズムに乗り、ファンが積み上がるフォーマットです。認知やファン化が目的なら、最初からシリーズ前提で相談したほうが結果的に安くつきます。
配信や広告運用まで任せられる?
これも会社次第です。基準③で書いたとおり、制作だけでなく配信設計・広告転用まで伴走できるかを最初に確認してください。
脚本だけ・撮影だけの部分発注はできる?
受けてくれる会社もありますが、ショートドラマは脚本・演出・編集・データ分析の連携が成果を左右するので、一貫して任せるのが基本です。自社で脚本のポイントを押さえておきたい方は「ドラマ脚本の書き方」をどうぞ。
そもそもショートドラマ広告の仕組みから知りたい
「ショートドラマ広告とは」で配信モデルから整理しています。広告業界全体の動きは「広告業界のトレンドと課題」へ。
最後に:選び方は「数字を開示できるか」に尽きる
4つの基準を挙げましたが、商談の場で使える質問に圧縮するなら、これだけ覚えて帰ってください。
「御社の平均再生数と、冒頭2秒の設計思想を教えてください」
この2つにすぐ答えられる会社は、データと脚本論の両方を持っています。答えに詰まる会社は、どちらかが欠けています。96.5%がスキップされる時代に必要なのは、きれいな動画をつくる下請けではなく、ビジネスを一緒に設計する戦略パートナーです。
GOKKOに話を聞いてみたい方は、ショートドラマ制作の公式ページから相談できます。もちろん、この記事の基準で他社と比較してもらって構いません。それで選ばれる自信があるので、この記事を書いています。
