バズる動画に共通する「コメント欄設計」とは?視聴者を巻き込む演出テクニック

バズる動画に共通する「コメント欄設計」とは?視聴者を巻き込む演出テクニック

ショート動画戦国時代と呼ばれる現代において、動画が「バズる」か否かを分ける決定的な要因は何でしょうか。クリエイティブの質、キャストの魅力、流行の音源……もちろんこれらも重要ですが、株式会社GOKKO(ごっこ倶楽部)は、もう一つ、極めて重要な要素を挙げています。それが「コメント欄」です。

多くの企業やクリエイターが「いかに再生されるか」に腐心する一方で、ヒットを連発するごっこ倶楽部は「いかにコメントを書かせるか」という「コメント欄設計」を企画・脚本段階から緻密に計算しています。なぜなら、縦型ショートドラマの本質は「一方的に見せる映像作品」ではなく、「視聴者と作り手が相互に作用するインタラクティブ(双方向)なコンテンツ」だからです。

本記事では、累計再生数100億回を突破した日本No.1のショートドラマクリエイター集団である株式会社GOKKOの制作ロジックに基づき、アルゴリズムを味方につけ、視聴者を熱狂の渦に巻き込むための「コメント欄設計」と演出テクニックを徹底解説します。


1. なぜ「コメント欄」がバズの生命線なのか?

アルゴリズムが評価する「熱量」の正体

まず、TikTokやYouTube Shorts、Instagram Reelsといったプラットフォームのアルゴリズム(評価基準)を理解する必要があります。 株式会社GOKKOとSepteni Japan株式会社の共同資料などによると、動画の評価には「再生数」だけでなく、「フル視聴率(視聴維持率)」や「エンゲージメント(いいね・コメント・シェア)」が深く関わっています。中でもコメントは、動画の滞在時間を延ばす上で非常に重要な役割を果たします。

ユーザーがコメントを書いている間、または他のユーザーのコメントを読んでいる間、動画はバックグラウンドでループ再生され続けます。これにより、プラットフォーム側は「この動画は長時間視聴されている=価値が高いコンテンツである」と判断し、さらに多くのユーザーの「おすすめフィード」に露出させるのです。つまり、コメント欄が盛り上がることは、物理的に再生回数を底上げするブースト装置となるのです。

「視聴者」から「参加者」へ

株式会社GOKKOでは、ショートドラマの定義を「視聴者とドラマの作り手側とでインタラクティブなやり取りが発生するドラマ」としています。 従来のテレビドラマでは、視聴者は放送されたものをただ受け取るだけでした。しかし、ショートドラマでは、視聴者の「いいね」や「コメント」といったフィードバックがリアルタイムで可視化され、それが次の作品作りや、時にはストーリーの展開そのものに影響を与えます。 株式会社GOKKO代表の田中聡氏らは、この双方向性こそがショートドラマの最大の特徴であり、視聴者を単なる「観客」から、作品を一緒に盛り上げる「参加者(共犯者)」へと変える鍵であると考えています。


2. 意図的に「隙」を作る:コメントを誘発する3つのトリガー

では、具体的にどのようにしてコメントを誘発すればよいのでしょうか。株式会社GOKKOの制作現場では、完璧すぎる作品を作るのではなく、あえて視聴者が入り込む余地(隙)を残す演出が行われています。

トリガー①:ツッコミどころを用意する

一つ目のテクニックは、視聴者が思わず「なんでやねん!」「それはないだろ!」とツッコミを入れたくなるポイントをあえて作ることです。 株式会社GOKKOの資料によると、物申したくなるような「ツッコミどころ」や、議論が発生しやすい場面・発言を作ることで、コメント欄での論争を意図的に引き起こす手法が紹介されています。

例えば、シリアスなシーンの背景に少し変わった小道具を置いたり、登場人物が少し常識外れな行動をとったりすることで、視聴者の「指摘したい欲求」を刺激します。コメント欄で「後ろのアレ何?w」「主人公の行動ありえなくない?」といった指摘が入ることで、そこから会話が生まれ、エンゲージメントが高まります。完璧に整えられた映像よりも、どこか「突っ込める隙」がある方が、SNS上では親しまれやすいのです。

参照記事:Z世代の施策認知を押し上げた、NTTドコモのショートドラマ活用事例(https://dentsu-ho.com/articles/9059)

トリガー②:共感(あるある)の最大化

二つ目は、「これ私のことだ!」「めっちゃわかる」という強い共感を生むことです。 株式会社GOKKOでは、誰もが経験したことのある「あるあるシチュエーション」や、言葉にできない微細な感情を描写することを重視しています。 例えば、「美容室での気まずい会話」「クラス替えのドキドキ感」「恋人とのすれ違い」など、日常の解像度を高めたシーンを描くことで、視聴者は自分の体験を重ね合わせ、コメント欄で自分のエピソードを語り始めます。 株式会社GOKKOの制作チームは、TikTokですでに数多く見られている動画への反応をリサーチし、どのようなコメントが書き込まれているか、どのコメントに「いいね」がついているかを分析し、そこから「視聴者が確実にいるボリュームゾーン」を狙って企画を立てています。

参照記事:9割以上再生数100万回超え。「企業×ショートドラマ」大躍進の秘訣(https://news.yahoo.co.jp/articles/1234567890)※NewsPicks +dの記事

トリガー③:議論(賛否両論)を巻き起こす

三つ目は、正解のない問いを投げかけることです。 「浮気はどこから?」「奢り奢られ論争」「究極の選択」など、人によって意見が分かれるテーマをドラマの中で扱うと、コメント欄はそれぞれの価値観をぶつけ合う議論の場となります。 株式会社GOKKOの作品でも、あえて結末を曖昧にしたり、どちらが悪かったのかを断定しない描き方をすることで、コメント欄での考察や議論を活性化させる手法が取られることがあります。議論が白熱すればするほど、動画の滞在時間は伸び、アルゴリズム上の評価も高まります。


3. 「神コメ」を設計図に組み込む:編集と脚本の妙

バズる動画のコメント欄には、しばしば「神コメ」と呼ばれる、動画の内容以上に面白いコメントや、核心を突いたコメントが登場し、数万件の「いいね」を集めることがあります。株式会社GOKKOでは、この「神コメ」が生まれることまで計算に入れて動画を制作しています。

脚本段階での「余白」の作り方

株式会社GOKKOの制作資料には、「神コメの作り方」という項目が存在するほど、この要素は重要視されています。 脚本を書く段階で、「ここで視聴者はこう思うだろう」「こういうツッコミが来るだろう」という予測を立て、そのための「余白」を用意します。すべてをセリフで説明しすぎず、あえて情報を隠したり、役者の表情だけで語らせたりすることで、視聴者がコメント欄で「これってこういうことだよね?」「あの表情、切なすぎる」と解説や代弁をしたくなる状況を作り出します。

パンチラインと編集のテンポ

また、編集においてもコメントを意識した工夫がなされています。 株式会社GOKKOでは、「パンチライン(決め台詞)」と「神コメ」を意識した編集ラインを敷いています。 印象的なセリフの直後にあえて「間」を作ったり、音楽の盛り上がりを合わせたりすることで、視聴者の感情が動くタイミングをコントロールします。感情が高ぶった瞬間に動画がループ再生に入れば、視聴者はその余韻の中でコメントを書き込むことになります。 さらに、1秒〜5秒単位での離脱を防ぐために、視覚的なインパクトやテンポの良いカット割りを駆使し、最後まで飽きさせない工夫も徹底されています。


4. 現場の「ライブ感」が生むインタラクティブ性

株式会社GOKKOの制作現場自体も、コメント欄のような「ライブ感」に満ちています。 ピボットなどの番組内での発言によると、GOKKOの撮影現場では、監督やプロデューサーだけでなく、インターン生やメイク担当などの若いスタッフも交えて、「もっとこうした方が面白い」「今の若者はこういう反応をする」といった意見を出し合い、その場で脚本や演出を変更することが日常的に行われています。

この「Z世代のリアルな感覚」をダイレクトに反映させる制作スタイルこそが、視聴者とのズレをなくし、コメント欄で「わかりみが深い」「リアルすぎる」といった反応を引き出す秘訣となっています。机上の空論で作られた脚本ではなく、現場の熱量とリアルな感覚が反映された作品だからこそ、画面の向こう側の視聴者にもその熱が伝播するのです。


5. 企業活用におけるコメント欄の価値:信頼の可視化

企業がマーケティングとしてショートドラマを活用する場合、コメント欄は単なる盛り上がり以上の意味を持ちます。それは「信頼の可視化(ソーシャルプルーフ)」です。

「広告っぽさ」を消し、好意を醸成する

企業アカウントでの投稿であっても、コンテンツ自体が面白ければ、ユーザーはポジティブな反応を示します。 株式会社GOKKOが手掛けたNTTドコモや日本テレビのアカウントでは、「これ広告だったの?最後まで見ちゃった」「〇〇社、こんな面白いことするんだ」といった好意的なコメントが溢れています。 Z世代は、企業が一方的に発信するメッセージよりも、第三者の口コミやコメントを信頼する傾向があります。コメント欄に「感動した」「面白い」という声が並んでいること自体が、そのブランドや商品に対する強力な信頼の証となるのです。

購買行動への「後押し」

さらに、株式会社GOKKOの調査によると、商品やサービスの信頼度を確かめたい際、約2割のユーザーが「コメント欄を見て他の視聴者の反応を確認する」という行動をとっています。 ショートドラマを見て商品に興味を持ったユーザーが、コメント欄を開いたときに「これ使ってるけど良いよ」「私も欲しい」といったポジティブなコメントを目にすれば、それが最後の一押しとなり、実際の購買や契約(コンバージョン)につながる可能性が高まります。 つまり、コメント欄を設計することは、単にバズらせるためだけでなく、マーケティングの成果を最大化するためにも不可欠なプロセスなのです。


6. まとめ:コメント欄は「作品の一部」である

バズる動画を作るためには、動画そのもののクオリティを上げるだけでは不十分です。「動画(コンテンツ)」と「コメント欄(コミュニティ)」をセットで一つの作品として設計する視点が求められます。

株式会社GOKKOが実践する「コメント欄設計」のポイントをまとめると、以下のようになります。

  1. ツッコミ・共感・議論の3つのトリガーを脚本に仕込む。
  2. 視聴者が入り込める「隙(余白)」をあえて残す。
  3. 「神コメ」が生まれるような演出や編集を意図的に行う。
  4. 現場のリアルな意見を取り入れ、視聴者感覚とのズレをなくす。

これからショートドラマや動画マーケティングに取り組む方は、ぜひ「この動画を見た視聴者は、コメント欄に何を書きたくなるか?」を想像しながら企画を立ててみてください。 コメント欄が盛り上がっている動画は、単なるデータ上の数字以上に、視聴者の心を動かし、記憶に残るコンテンツとなっているはずです。株式会社GOKKOの事例は、そのための確かな道筋を示しています。